部分入れ歯の管理からインプラントの点検まで、知っておきたい歯科の常識
元・円光大学歯科病院 病院長、マウム歯周科歯科 キム・ユンサン院長 インタビュー
部分入れ歯とインプラントは、中高年の患者さんが最も悩む歯科治療です。
歯を失うと、日常生活の不便さはもちろん、食事や発音、審美性にも影響するため、治療選択に慎重にならざるを得ません。しかし、治療を選んだ後でも「どう管理すれば長く使えるのだろう?」という疑問は多いものです。
今回のインタビューでは、元・円光大学歯科病院の病院長であり、歯周科専門医でもあるマウム歯周科歯科のキム・ユンサン院長とともに、部分入れ歯とインプラントの管理について、実際の症例を交えてお話を伺いました。

部分入れ歯を使うと、なぜ不快感が生じるのでしょうか。
問題は入れ歯そのものではなく、“支台歯の管理”が核心です。
部分入れ歯は、残っている天然歯を支えとして固定する仕組みです。つまり、入れ歯が正常に機能するためには支台歯が健康であることが重要です。しかし、多くの患者さんは入れ歯を装着した後、歯科受診をやめてしまい、「問題なく使えている」と思い込むことが少なくありません。
✔ 実例 1:「入れ歯がゆるくなりました」
60代の女性は部分入れ歯を装着した後、2年間一度も歯科を受診しませんでした。最初はよく合っていた入れ歯が、ある時からゆるくなり、食事の際に動いて不快感を覚え来院されました。検査の結果、支台歯の周囲に炎症が起こり、骨が大きく吸収されており、支台歯が揺れて入れ歯が正常に機能していませんでした。問題は入れ歯ではなく、支台歯の管理不足でした。
キム・ユンサン院長は「部分入れ歯の患者さんの多くが支台歯周囲の炎症で苦しんでいる」と述べ、
問題は入れ歯そのものではなく、多くの場合“支台歯の管理不足”にあると強調しました。

部分入れ歯使用者の天然歯の管理はなぜ難しいのか? 自分でケアしても見落としが生まれる理由
部分入れ歯を使っている患者さんはよく「自宅でしっかりケアすれば十分では?」と尋ねます。
しかし実際には、どれだけ自宅で丁寧にケアしていても、どうしても見落としが生まれます。天然歯がある部分・ない部分、補綴物がある部分、入れ歯が接触する部分など、それぞれケア方法が異なるためです。特に支台歯の周囲は細菌が溜まりやすく、入れ歯の構造上、歯ブラシが届きにくい箇所が多いため、炎症が起こりやすくなります。
✔ 実例 2:「しっかり歯磨きしているのに、なぜ炎症が起きるのですか?」
70代の男性は1日3回歯磨きをし、入れ歯も毎日清掃していましたが、支台歯の周囲に強い炎症が起きて来院されました。本人は「しっかり管理している」と思っていましたが、入れ歯が当たる部分と支台歯の間の狭い隙間は自分ではケアが難しいものです。専門的なケア方法を学ばないまま自己流で管理していたため、重要な部分を見落としてしまったのです。結局、定期的に歯科を受診し、自分に合った管理方法を学び、見落としをチェックしてもらうことが必須です。
歯科受診の頻度はどれくらいが適切か? 入れ歯と天然歯では管理周期が異なる
入れ歯は歯槽骨の上に乗る構造のため、加齢によって骨が変化すると合わなくなってしまいます。そのため、6か月ごとの入れ歯チェックが望ましいです。一方、天然歯は常に細菌感染のリスクがあるため、より頻繁な管理が必要です。炎症がある場合は治療後2〜4週間間隔での管理が必要で、正しいケア方法を十分に習得した後は3〜6か月ごとの定期検診が適切です。

✔ 実例 3:「1年以上来なかったら、歯がかなり悪くなっていました」
50代の女性は忙しい生活のため、1年以上歯科受診を先延ばしにしていました。入れ歯は問題なく合っていると思っていましたが、精密検査の結果、支台歯周囲の骨が大きく下がり、歯ぐきも腫れて炎症が進行している状態でした。定期検診さえ受けていれば、初期の段階で十分に治療できた問題でした。
インプラント手術後に合併症はなぜ起こるのか?
天然歯とは異なる構造のため、炎症がより早く進行する
インプラントは天然歯を代替できる非常に有用な治療ですが、天然歯とは構造が異なるため、副作用が生じることがあります。インプラント周囲は天然歯よりも隙間ができやすく、細菌感染が起こると炎症が天然歯よりも早く進行します。
✔ 実例 4:「痛みは全くなかったのに、骨がかなり溶けていると言われました」
60代の男性はインプラントを入れてから5年が経っていましたが、痛みが全くなかったため歯科を受診していませんでした。ある日突然、歯ぐきが腫れて出血し来院したところ、すでにインプラント周囲の骨が大きく失われていました。インプラントは天然歯のように早期に痛みのサインが出ないため、問題が深刻になるまで気づかないことが多いのです.
インプラントを長く使うためには、定期的なレントゲン検査と個別のケア方法の習得が必須です
レントゲンでは骨の高さの変化、インプラント構造の変化、固定状態などを確認でき、外からは分からない初期の炎症も早期に発見できます。
また、インプラントは位置や形、周囲の歯ぐきの状態によってケア方法が異なるため、歯科医院で自分に合った正しいケア方法を学ぶことが重要です。
✔ 実例 5:「正しいケア方法を学んでから、ようやく問題が減りました」
インプラント手術後に歯ぐきがよく腫れていた50代の男性は、定期検診を通じて自分のインプラント構造に合ったケア方法を学んだことで、症状が大幅に改善しました。単に丁寧に歯磨きをするだけではなく、インプラントの構造に合わせたカスタムケアが必要であることを示す事例です。
入れ歯もインプラントも、「管理」こそが治療を完成させる要素です
部分入れ歯でもインプラントでも、治療後のケアが不十分だと最終的には歯周疾患につながり、再治療が必要になります。特にインプラントは痛みが出ないまま重症化することがあり、より危険です。定期的な歯科受診と正しいケア方法の習得こそが治療の完成です。治療はスタートに過ぎず、ケアは一生続ける必要があります。

定期的な歯科受診と正しいケア方法の習得は治療の延長であり、一生の歯の健康を守る最も確実な方法です。
今、入れ歯やインプラントを使用しているなら、今日からケア習慣を見直すことが大切です。
そして、少しの関心と継続的なケアがこれからの10年、20年を左右します。
マウム歯周科歯科クリニック ホームページ https://maumperio.com
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